情報社会におけるラグジュアリー

WIRED NEXT GENERATION 2018

ブックチューバーとは何か

「ブックチューバー」「インスタポエトリー」──これらの言葉を、WIREDのイベント『NEXT GENERATION 2018』に参加して知りました。

どちらの言葉も、自身がBookTuberでもあるアリエル・ビセット(Ariel Bissett)さんのセッションに出てきました。

アリエル・ビセット BookTuber ブックチューバー
Ariel Bissett

ブックチューバーは、書評するユーチューバー。アリエルさんのYouTubeチャンネル登録者は、14万人もいます。

アリエル・ビセット BookTuber ブックチューバー YouTube
Ariel Bissett / YouTube

動画を見てみると、感情表現豊かで、テキストによる書評とまったくの別物とわかります。彼女が撮影をはじめたのは、16歳の時だそう。

インスタポエトリーとは何か

一方の「インスタポエトリー」は、インスタに投稿された短い詩のこと。ハッシュタグ「#instapoetry」には、200万以上の投稿が集まっています。

instagram インスタポエトリー instapoetry
アリエルさんのプレゼンに載っていたMorgan Harper Nicholsさんのフォロワーは25.8万人

「ツイッター文学」同様、「ブックチューバー」も「インスタポエトリー」もテクノロジーが新たに生み出した活字文化です。

アリエルさんは、プレゼン終盤にグーテンベルグの印刷機をスクリーンに投影し、グーテンベルグのようにスマートフォンが本を読む人を増やすのではないかと話していました。

WIRED アリエル ビセット BookTuber

コミットしているから楽観できる

これを聞いて、アリエルさんのセッションの前にWIRED編集長の松島さんが、ポジティブな人たちは、問題にコミットしているから楽観的になれると話していたのを思い出しました。

では僕は何にコミットするのか。

情報が氾濫する時代において、究極のラグジュアリーとは意味と文脈だ。

WIRED創刊時のマニフェストにこんなことが書いてあるそうです。

いま僕らが直面する情報の問題は氾濫だけにとどまらず、質の問題、それから分断や格差の問題へと悪化しています。僕がまだこの状況を楽観できていないのは、まだコミットし切れていないから。

使命を自覚する

WIRED最新号の「Editor’s Letter」に、〈社会〉と〈経済〉〈テクノロジー〉の関係を表した一文がありました。

経済の主要なアップデートである産業革命を起こしてきたのは、何よりも活版印刷や蒸気機関や電気といったテクノロジーによるイノヴェイションだった。〈経済〉がその上部構造である〈社会〉を規定するといったのはマルクスだけれど、その〈経済〉を規定する下部構造として、テクノロジーはあり続けた。

社会 経済 テクノロジー 関係

ここでいうテクノロジーは、デザインと置き換えることもできると思います。この3層構造を意識して、僕なりのアプローチで経済と社会を形づくっていきたい。その際、手を広げすぎないためにも、ピラミッドの各層の先頭に〈情報〉とつけておく。

情報社会 情報経済 情報テクノロジー

〈情報デザイン〉あるいは〈情報テクノロジー〉で、〈情報経済〉を規定し、〈情報社会〉をよりよい方向に導く。これが僕の使命なのだと自覚。

世界をつなげる方法

今後に向けてヒントになったのが、木原共さんによるプロジェクト「ストリート・ディベーター」

「物乞い」は助ける人と助けられる人という構図を生み、人の尊厳を損なう。そんな問題意識から生まれたストリート・ディベーターは、てんびんの形をしています。

street debater ストリート ディベーター
Street Debater

「ベーシック・インカムに、賛成? 反対?」「次の大統領にふさわしいのは、ヒラリー? トランプ?」といった問いかけに対し、道ゆく人はお金を投票します。

現場の観察とプロトタイピングを繰り返して生まれた「ストリート・ディベーター」。その開発過程は、木原さんのMediumで読むことができます。
🗞「物乞い」の行為をデザインする

「物乞い」に代わる稼ぐ手段が生まれただけではなく、これが議論や対話のきっかけになっているのが注目点。格差と分断という二つの問題の打ち手になっています。

さらにはWIREDのマニフェストでいうところの「情報が氾濫する時代の最高のラグジュアリーである意味と文脈」をもたらすものにもなっています。

WIREDのイベントを通じて、GAFAにもできないことが、オンラインにもオフラインにも、まだまだあると感じた。