「Don’t be evil」という美意識

Don't be evil google 邪悪になるな

欠けた公平性

「Googleらしくない」そう感じるニュースが、このところ目につく🤔

そのひとつが、セクハラ問題でGoogleを退職したアンディ・ルービンに対して、多額の退職金💰が支払われたとする報道だ。
🗞How Google Protected Andy Rubin, the ‘Father of Android’(New York Times)

New York Times アンディ・ルービン 退職金
New York Times

アンディ・ルービンは、モバイルOS「アンドロイド」(2005年にGoogleが買収)を開発した人物で、“アンドロイドの父”と言われています。

Googleが彼を盛大に見送ったのは、功労者だから? 幹部だったから?

New York Timesの報道に対して、アンディ・ルービンは金額が誇張されていると否定しているものの、事態は収まらず、Google社員のストライキに発展しました。
🗞グーグル従業員がセクハラ抗議しスト、世界各地で(ロイター)

Googleに抗議する人たち 櫻田潤

これをうけて、Googleのサンダー・ピチャイCEOは、「従業員による建設的なアイデアを実行に移していけるようにする」と表明。明言はしていないものの、何らかの対応に迫られています。

追記:数日後に、対応方針変更を発表。
🗞グーグル、セクハラ関連での方針変更を発表 従業員のスト受け(CNN)

自浄作用が効かなくなっている?

Googleには自浄作用がある。何か問題が起こっても、内側からそれを発見して、解決に導く。そんなイメージがあります。

たとえば、AIの軍事利用を巡って、こんな出来事がありました。

今年5月、軍事用ドローン向けAIテクノロジーを開発していたことに対して、4,000名近い社員が国防総省との契約に反対。
🗞「邪悪になるな」とグーグル社員が複数退社-軍事目的のAI活用巡り(ブルームバーグ)

翌月にGoogleはAI利用の7原則を発表。軍事利用を制限する指針を設けました。
🗞グーグル、AIの兵器利用を禁止 CEOが原則発表(AFP通信)

Google AI利用の7原則

この原則に従って、国防総省のクラウドコンピューティング契約への入札に参加しないことを決めています。
🗞グーグル、米国防総省のクラウド契約入札の参加取りやめ(ロイター)

この一連の流れには、まだ“Googleらしさ”のかけらを感じます。ですが、冒頭に挙げた件はじめ、他にも立て続けに隠れた事実が報道されていて、Googleらしくないと感じることも増えました。

(1)中国の検閲対応アプリの開発

Googleは2010年に中国から撤退。検索結果を検閲対応することを拒否してのことでした。それから8年、検閲対応版を準備していると報じられました。
🗞グーグル、中国向けに検閲済み検索アプリを準備中(ブルームバーグ)

(2)位置情報の記録

Googleが提供するモバイルサービスが、利用者の共有設定に関係なく位置情報を記録していたと報じられています。
🗞米グーグル、位置情報の機能オフ時も位置を記録(ブルームバーグ)

(3)個人情報流出につながるバグ公表を見送り

Facebookの個人情報流出が問題になっていた最中、Googleのサービスでも個人情報流出の可能性があるバグが見つかっていたにも関わらず、公表を控えていたと報じられました。
🗞グーグルが最大50万人の個人情報流出か-3月に把握(ブルームバーグ)

これらはバラバラの出来事ではありますが、Googleカルチャーに異常が発生していることを示唆しています。

後味悪い、反多様性事件

ここまで挙げたのが今年の出来事で、昨年にも関連する話がありました。Googleの男性エンジニア、ジェームズ・ダモアが、「女性は生物学的にエンジニアに向いていない」とする見解を述べた社内文書を作成。

その文書は現在、彼のサイト「Fired for Truth」で公開されています。

ジェームズ・ダモア 反多様性メモ
Fired for Truth

ジェームズ・ダモアの主張に対し、Googleは「性差別に関する有害なステレオタイプを広げた」として解雇。その一方で、Google社内に彼を支持する人も現れました。
🗞グーグルの「反多様性メモ」に、社内からも支持の声──「企業における多様性」の難しさが浮き彫りに(WIRED)

解雇後、彼はWall Street Journalに寄稿。自分の考えは科学的根拠があるとし、Googleはカルト教団のような「思想的エコーチェンバー(同じような考えを持つ人たちで集まって思想を固めている)」で、議論を封じ込めたと述べています。
🗞【寄稿】なぜ私はグーグルを解雇されたか(ウォール・ストリート・ジャーナル)

さらに、ジェームズ・ダモアはGoogleを提訴。「保守的な政治的見解をもつ白人男性」に対する差別だと主張し、この問題は尾を引いています。
🗞解雇された元社員がグーグル提訴、性差別巡る問題で(ロイター)

「Googleってこんな会社だったっけ?」そう感じてしまうのは、僕が持つGoogle像が、2015年まで掲げていた行動規範「Don’t be evil」に根ざしているからかもしれません。

リメンバー「Don’t be evil」

「Don’t be evil」──僕はこの言葉が好きだ、美しい。歴史に残る言葉だと思う。

しかしGoogleは、2015年にスローガンを「Don’t be evil」から「Do the right thing」に変更。
🗞Google、行動規範からみんなのモットー「Don’t Be Evil(邪悪になるな)」を外す(ギズモード)

いま価値観、倫理観が揺れる中で「Don’t be evil」を使わないなんて勿体ないな、そう思いながら、あらためてGoogleの行動規範を見ていると、その最後の一文に出会いました。

忘れないで。「邪悪になるな」──もしあなたが正しくないと思うのなら、声をあげましょう!(原文:And remember… don’t be evil, and if you see something that you think isn’t right – speak up!)

行動規範の最後の最後に残されていた「Don’t be evil」。

巨大化に伴い、今後ますます従業員が多様になり、価値観のよりどころが必要になっていくでしょう。

それから、あまりにもパワーを持ちすぎたテック・ジャイアンツに対し、倫理観を問う声が強まっていくと予想されます。

その時に、こんなにも美しく強い言葉があるのだから、ひっそりと残すのではなく、もう一度高らかに掲げて欲しい。

「Don’t be evil」

邪悪になるな